旅立ち

あの日、あの時、あの瞬間をつかまえたくて、音を、言葉を、色彩を、重ねる。何度も塗り変えてみる。取り出せない。収まらない。でもきっとそれでいい。その瞬間の本態は光や音の受容を超えた感覚で、いのちそのものだから。「真実」という答えの追及はいらな...

生ぬるい うぐいすの風空と大地がひとつになる悠久の旋律に芽吹く透き通る若葉何度巡っても 新しい何度出逢っても 美しい照らし照らされて五体の生を また知る移ろいゆく四季はいのちが綾なす刹那永遠の空が映し出す一瞬どこまでも 鮮やかに今日が最期で...

途方もない世界は霧のようにいつでもここに体の真ん中樹海の深淵そこから伸びた根は歓びも 悲しみも 吸収し成長しやがて 小さな玉座へ原初の音色を奏でるサンクチュアリへ安寧の孤独光と闇のホメオスタシス

両手から湧き出でる泉こぼれ落ちていく光それがあなたへのギフト混じり気のない真実澱んでしまったら深い呼吸を迷った時は 森を見渡して苦痛を感じる夜は星空を仰いで乾いた泉が満たされ輝き溢れ出す自然と湧き出でる泉それがあなたへのギフト私が受け取るギ...

朧な闇に浮かぶ満月恐れの先に 現れた扉走って飛び込むそこは未来という名の亡霊が漂う終わりのない 迷いの森尽きることのない無限のループどこへ行こうとしているの？あなたはどこから来たの？あなたの願い事はなに？どうして生まれてきたの？木々のざわめ...

赤と青を架ける無限の色彩限りなく近づいていく夢幻の旅言葉も音も失うほどに敵わない この空が終わりのない希望

天国の宮殿を後にして暗く狭い参道を ただひとり闇を知る未知を知る静寂を満たす御心の赴くままにトンネルの先に微かに差し込むのはあたたかな 遠い日の記憶これが光与えられた世界は暇を持て余した神話の星々が流れ落ちる楽園禁断の果実を奪い合う混沌の舞...

渡り鳥が飛び立ったあなたの行く先へ長い間ずっと固く固く握り締めた両手をひらいてごらんその素敵な呪いはあなたを解き放つものそしてあなたを縛りつけるもの怖がらなくていい心配しなくていいよ何も持たずにいつでも帰っておいで優雅に弧を描く無数に連なる...

空から落ちる一雫 数珠繫ぎに続く走馬灯の中をまっすぐにゆっくりと落ちていくぼんやりと 変幻していく光だんだんと 鮮明になる光まっすぐにゆっくりと落ちていくやがて雫はひび割れた大地に浸透し親和する涙の種子全ての始まり 全ての終わり文明開花の音...

オゾンの結界に包まれて地上を浮遊している次元の狭間を彷徨っている記憶喪失のストレンジャーベートーヴェンが導くみて　きいて　かんじて瞳の奥の胸の奥の雑踏をかき分けて 久遠の闇夜を見上げたかぐやは 息をのむ見慣れたはずの満月その煌々とした 輝き...