旅立ち

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せせらぎ

優しく揺れる猫柳さらさら流れる虫の声指の間をすり抜けて行くいのちのせせらぎ
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溶媒

どこまでも広がる厚い雲吸い込まれそうな白前人未到の雪原見上げた小枝のシルエットは肺胞みたいに広がって私の呼吸に繋がっている真っ白な海原を泳ぐ鳥を育んでいる小さな鼓動を有機的に投影する白い天蓋
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光の龍

紅蓮の怒髪は薪をくべるいのちの焚き火が音を立てるその煌めきは虚ろな瞳に灯りを燈す息吹は若葉へ成長し浅葱の天を慕った歓喜と絶望の環諸刃の渦は膨れ上がり大地を揺らし全てを飲み込んだソラが泣き出した群青の慈雨慈しみは葵を伝い賢者の蘇生太陽が昇る雨...
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邂逅

鈍色の雲に 一筋の亀裂稲妻の轟きを 一瞬で消し去る偽りの一切を 無に帰す真空の光空は偉大で創造の原点を与える薄れた虹の手を取って新たな光を繋いでいく無限のソラ一糸纏わぬ魂の旋律唯そこに有るということ
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蒸留

雨が降る滲んだネオンがアスファルトを伝って呼吸と共に流れていく雨が降るただひとり滲んだ街灯がアスファルトを伝って記憶と共に流れていくひとりになってひとつになって目覚めた螺旋が共鳴している震えている
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Let it be

雲の姿は美しいおおらかで軽やかで地上に安らぎを与える天空の使い穏やかに健やかに空の入り口で風に乗る鳥を見守ってゆっくりと世界を紡ぐ
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Mother

全てを含有する空の下で世界がはじめて生まれた日虛空の中心頬をかすめる 微かな冷気鼻腔を通って真っ直ぐ伸びた茎が葉脈の先まで広がってぬくもりを感じると胸の中心で鐘が鳴るゆっくりと踏み出す爪先移り行く暗がり羽化し始める朝透き通る琥珀の光いのちの...
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Butterfly

視界に飛び込む不規則な軌跡何の前触れもなくそよ風をまとってフワフワ舞い上がる一瞬で舞い上がる白日夢に誘われて空とひとつになって消えた重たい人混みを残して
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existence

空が放つ光生み出す光織り成す光息が止まる時が止まる圧倒的な瞬間喉の奥を突き上げる偉大な瞬間敵わないいのちが震える瞬間ここが真実鎖など本当はありはしない
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