憧憬は
どこまでも延々と続く
朽ち果てるまで
周り続ける
鉛の額縁に囲われて
歪んでいるのに
純粋な理想は
鍛えあげられた信念へ
やがて鈍色の沼となり
追い求めるほど
深く 重く
沈み込んでいく
薄れていく意識
真っ白な世界
浮かび上がる
玉座
水辺にとまった
赤とんぼ
繊細な網目が
陽光を反射していた
柔らかく透き通る紅は
初めて知る
美しい旋律だった
ふと思い出した
打ちひしがれたあの瞬間は
この旋律に続いている
夢見た理想郷は
不自由を与えたが
それは
道標であったことを
もしも
羨望の景色を手にしていたなら
果てしない渇望の渦に
飲み込まれていたことを
喪失の中で垣間見た
真っ白な世界は
洗い流され 顕れた
原初の姿
自由への扉
紅の調べ
浮力